遠方の現場でもリアルタイムの共有と管理を
円滑な業務のためのリモートワーク環境を整備
有限会社ティーアイシステム
代表取締役
寺井 幸一
さん
有限会社ティーアイシステム(外部サイトに移動)
通信設備や電気設備の設計施工をメインに、保守コンサルティングや光通信ケーブルの接続・切替工事などを行う「有限会社ティーアイシステム」。県外への工事施工の機動力が強みであったものの、感染症の拡大によって県を跨ぐ受注を気軽に請け負えなくなってしまいました。情勢に応じて往来回数を減らしながらも生産性を保つため、寺井さんはリモートワーク環境の整備に着手したと言います。
県内外の工事施工に対応可能な環境を整備
- どのようなデジタル技術を取り入れましたか。
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従来は紙ベースだった書類やデータをタブレット型端末で共有できるように。情報のスリム化にもつながっている。
現場においても事務処理のほか、勤怠や進捗の管理などができるように、端末や周辺機器の導入、そしてクラウドサービスの活用を始めました。
大きく分類して3つのデジタル技術を取り入れたのですが、1つ目はリモートワークを可能にするための機器として、iPadを5台購入しました。もともと使用しているタブレット型端末もあったので、従業員全員にタブレットを持たせました。
2つ目はクラウドで利用できるOfficeアプリケーションなど、情報を共有したり書類を作成するためのソフトウェアの導入。3つ目は機密情報を保持するため、端末を管理するソフトウェアの購入です。 - どのような経緯で導入に至りましたか。
- 県内での工事が多いものの、当社は年間を通して業務の3分の1ほどが出張になります。コロナ禍において、リモートワーク環境を整えることで、長期に及ぶ出張にもコンスタントに対応できると考えました。実現すれば、県外から戻った後に感染症の予防策として待機期間を設けることが可能になりますし、従業員が事務所に不在であっても業務が遂行できるようになると思い、取り組むことを決めました。
当社は、県内のみならず東北、ひいては関東など県外での工事施工に対する機動力を最大の強みにしていたのですが、昨今の情勢から今までのように県を跨ぐ移動が困難になり、大変苦慮していました。従来、県外現場の受注物件であれば1週間程度の期間、現場と秋田を往来しながら施工していたのですが、感染症対策で往来の回数を減らさなくてはならなかったのです。その結果、現場の施工が進捗しても、秋田の事務所でなければ行えない事務処理や施工管理、勤怠管理ができず、会社全体の生産性は著しく低下してしまいました。さらには、県外の現場で施工を担当すると一定期間の待機期間を設ける必要があったため、施工担当者との連絡調整や打ち合わせ、指示出しに至るまで多くの苦労がありました。そのため、受注可能な物件数が大きく落ち込み、これまでの25%程度に…。また、一時ストップしていた受注が情勢の緩和によって増えつつある時期であっても、県外の現場の案件は安易に受けられず、せっかくの機会を失い続けていたのです。
リモートによるスムーズな業務遂行が可能に
- 導入後、スタッフの反応はいかがですか。
- 環境整備に着手することを決めた当初は、従業員たちから「めんどくさい」という反応もありました。しかし、2020年12月から本格導入をはじめて1年ほどが経った今では、「なくてはならない」といった声があがるほど、スムーズに業務体制を移行することができましたし、今では「こういった機能があればより良い」という意見が従業員たちから出るようになりました。一人1台タブレット型端末を支給しているのですが、現場での写真を共有して指示を仰ぐことに利用するなど、想定していた以上に積極的に活用しているように思います。
- 導入前に期待していた効果は得られていますか。
- そうですね。デジタル機器やソフトウェアを導入したことで、どこに居ても全従業員がリアルタイムで作業工程の管理や打ち合わせをすることが可能になり、作業効率が大幅に向上したことを実感しています。現在は、県外など遠方の現場への直行直帰であっても、事務作業のほか勤怠管理までリモートで完結できています。
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寺井さん自身は、秋田の事務所で勤怠管理などを行うことが多い。遠方にいる従業員の状況をリアルタイムで確認できるようになり、工程や予定の調整がとれるようになった。
また、共有フォルダへアクセスすることができるようになったことが、想定以上に効率アップになっていますね。全国で同じような業務にあたる企業から事故事例の共有があった際に即時性のある注意喚起を行え、全従業員の安全な業務遂行のために役立てています。
さらなる業務効率のアップとチャンスを創出
- 導入にあたり、商工会やベンダーのフォローがあったと伺いました。
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今回のリモートワーク環境整備に携わった、河辺雄和商工会の副事務局長・藤田さん(左)。富士フイルムBI秋田株式会社の営業係長・田森さん(右)。
はい。富士フイルムBI秋田株式会社の田森さんより、デジタル技術導入の提案をうけたのが始まりでした。リモートワーク環境の整備にあたっては、「商工会などの支援機関に相談いただければ支援制度の案内があるかもしれない」との助言を受け、河辺雄和商工会に相談しました。その後はサポートを受けながら事業計画を策定し、デジタル技術の導入内容やスケジュールを具体化しました。そこで当社の強みや弱み、課題点が明確になり、より明確な改善策を見出すことができたように思います。いざ実現へと動き出してからは、富士フイルムBI秋田株式会社に機器やソフトウェアの提案をいただき、導入からアフターフォローまで安心しておまかせすることができました。当社が抱える課題を共有したことで、その解決方法を共に考え、親身になって取り組んでいただけたように感じています。 - デジタル技術を活用して、今後はどのような展開を予定していますか。
- 今後も県外からの受注案件について積極的に取り組んでいくため、リモートワークによるさらなる効率化を図っていきたいと思っています。繁忙期の作業効率を向上させて、円滑な業務遂行を行うことが目下の目標です。
リアルタイムの工程管理が可能になったことから、さらなる受注の機会を創出していきたいとも考えています。 - デジタル技術の活用を検討している事業者様へ、メッセージをお願いします。
- 当社にとって、「いつかは」と思っていたリモートワーク環境の整備でしたが、コロナ禍を機にデジタル技術活用の第一歩を踏み出すことになりました。導入してからは、作業効率や生産性の向上を日々実感し、第一歩を踏み出して良かったと思っています。
デジタル機器の導入や業務のデジタル化にあたっては、さまざまな方へ相談し、フォローをいただいたことで実現し、スムーズな業務遂行へとつなげることができました。実際にシステムを提供いただく企業はもちろんですが、商工会などの支援機関に相談することをおすすめします。
システム導入を支援した方からのメッセージ
富士フイルムBI秋田株式会社
秋田営業所
田森 洋平さん
外出先で社内資料へのアクセスが可能になることから、セキュリティ面も配慮いたしました。アクセス権の設定や端末紛失時のデータ消去などを管理者がリモートで操作可能なので、安心してご利用いただけると思います。
富士フイルムBI秋田株式会社(外部サイトに移動)
実際に活用した支援制度(補助金など)
- リモートワーク環境整備支援事業(秋田県)