ファンとの結びつきを強くしたアプリの活用
「スマートアリーナ」実現への大きな一歩

秋田ノーザンハピネッツ株式会社
マーケティング部 チケットオペレーション・ファンクラブ担当
白井 康司 しらい こうじ さん

秋田ノーザンハピネッツ株式会社
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 プロバスケットボールクラブを運営する「秋田ノーザンハピネッツ株式会社」。熱狂的なブースターと共に戦うことで有名ですが、感染症拡大による試合中止の影響でファン離れを危惧していました。そこで、ファンとの新たな接点づくりのために導入したのが、スマートフォンアプリです。効果はいかに? コンテンツ開発の中心となった白井さんに話を伺いました。

互いが身近になるコミュニケーションツール

2020年12月から導入したという「スマートフォンアプリ」。導入の経緯を教えてください。

秋田ノーザンハピネッツ公式アプリは、運用開始から2カ月間で2,000ダウンロードを目標としていたが、1カ月半で達成!
アクティブユーザーは2,500人に(2021年11月末時点)。

年間60試合のうち2/3が終わった2020年3月、感染症拡大の影響により、Bリーグの全試合が中止になりました。スポーツ観戦の在り方が大きく変わる中、このまま何もしなければファンがどんどん離れていってしまう…。オンラインでできることはないかと5月頃から模索し始め、さまざまな検討を重ねた結果、アプリの開発に至りました。
アイデアの発端は、オフィシャルパートナーの「株式会社エスツー」さん。情報を交換する中で、これからの情勢を見据えて「今アプリを作った方が良いのでは」、「アプリでこういうことができるよ」など、さまざまなご提案をいただきました。
アプリ開発の主な目的は。
「ファンとのつながりを深めよう」というのが目的です。これまでは会場に来てもらってつながりを深めていき、よりコアなファンになっていただくという考え方でした。しかし感染症の影響でファンとの新しい関わり方が必要な状況から、クラブをより身近に感じてもらうため、「日常的に情報を得られるツールを」と考えました。
導入にあたり、どんな課題がありましたか。
秋田のファンクラブ会員は年配の方も多くご入会いただいているので、デジタル技術が受け入れられるのかどうか、ダウンロードしてくれるのか不安がありましたね。ですが、感染症拡大の影響でBリーグの試合チケットもデジタル化したり、オンラインでのサービスが増えたりと、良くも悪くも世の中がデジタル技術を使う流れに向いた時期だったので、ここは思いきって挑戦してみようと思いました。
 ほかにも、どんなコンテンツが喜ばれるのか課題になっていて…。ほかのスポーツクラブのアプリを参考にさせてもらいながら、中身が複雑にならないように考えました。
システム開発に協力してくださった「株式会社エスツー」様の印象をお聞かせください。
アプリは当初、シーズン開幕の10月から運用をスタートしようとしていたため、構想から完成まで4カ月ほどしか時間がなく、かなりタイトなスケジュールでしたが、エスツーさんのプロジェクトチームと週3回打ち合わせを重ねながら進めました。初めてのアプリ開発は手探りの部分が多かったですが、こまめにコミュニケーションをとっていただいたおかげで、無事にリリースできました。すぐに足を運べる立地にあり、今も週1回くらいで不具合を確認いただくなど、アフターサポートも万全で安心です。

コンテンツの拡充とユーザー満足度を叶えた!

アプリを運用してみていかがですか。

紙の会員証がなくても、アプリで来場ポイントの獲得が可能に。

アプリには会員限定の投票企画や動画などのコンテンツを用意し、今まで試合会場に来た人しかできなかった抽選会への参加もオンラインで行えるようになりました。会場に足を運べない方にもコンテンツを提供できるようになったのはうれしいですね。アプリは私に加えてファンクラブ担当1人と広報担当2人の合計4人で運営していまして、日々アイデアも出てきています。
導入後に気づいたことはありますか。
新しいコンテンツではないのですが、アプリのトップページに、試合のスケジュールやチケット購入など既存の情報へのリンクをまとめました。運用後、アプリのどんなところが良いかを会員の方に聞くと、このリンクまとめが「すごい便利」、「動線がわかりやすい」と喜んでいただけて。この反応は想定していなかったのですが、元々あったものをつないだだけでもメリットを感じていただけているんだなと、運用を始めてみてわかりました。
現在は理想の何割くらい達成していますか。
アプリやデジタル技術を作るということがまったくわからない中で構想をつくったので、そこから実際にできているのは3割くらいでしょうか。まだまだ課題はいろいろあって、やりたいのにできていないこともたくさんありますが、より良くなるよう一つずつ取り組んでいきたいと思っています。当初想定しきれていなかったアプリの不具合などもたくさんありました。それでも良いところをお客さんが見つけてくれたり、こうした方が良いという発見もあったりして…、実際にやってみることは大事ですね。

コンテンツビジネスを生み出すアプリの可能性

ちなみに、アプリの利用者データは今、ビジネスに生かせていますか。
まさにこれからですね。シーズン開幕に間に合うようスピーディーに開発を進め、元々の構想から優先順位をつけて要素を削っていったので、データ分析よりもまずはリリースしてファンに楽しんでもらえることを優先しました。ですがデータ自体は溜めていまして、そこにツールを入れてデータが見えるようになったので、これからデータ分析に取り組んでいく予定です。
当社アプリのユーザーは、スマホで回答する、アプリで動画を見る、抽選に応募するということに慣れてきているので、浸透してアプリを使うことが普通になってくると、ほかのウェブの施策も実施しやすくなると期待しています。
デジタル技術を活用して、今後はどんな展開を予定していますか。

会員ランクが上位の方を対象に、スムーズに入場できるよう設置した「スマートゲート」。

将来的には『スマートアリーナ』というのを目指していて、その構想のカギになるのがアプリです。
また、昨年4月には、指紋を登録してチケットを買うとスムーズに入場できる「スマートゲート」の実証試験をし、今シーズンから運用しています。
今後は、指紋などの生体情報との連携やキャッシュレス、スマホで発注すると席まで届けてくれる飲食デリバリーなどのコンテンツをアプリを通じて展開して、将来のスマートアリーナ構想につなげていきたいと思います。
デジタル技術の活用を検討している事業者様へ、メッセージをお願いします。
デジタル技術は本当にできることが多くて、「結局どうやって活用するのかわからない」、「できることが多すぎて選べない」というのが導入のハードルになったりすると思いますが、まずは2、3個に絞って小さく始めてみてはいかがでしょうか。そこから機能を追加していけるのもデジタル技術の良いところです。当社のアプリのように、元々あるものをトップページにまとめただけでも喜んでくださるファンがいるので、まずはそういったところから始めて、お客さんのリアクションを一つずつ形にして積み重ねていくやり方も良いと思います。

アプリのダウンロードはこちらから

システム導入を支援した方からのメッセージ

白井 康司

株式会社エスツー
Steer Kevin Edward さん

0を1にするフェーズから協力ができ、秋田ではまだ珍しい技術とサービスを実現することが出来るのが魅力的です。今後も秋田ノーザンハピネッツさんと共に開発をさせていただきたいと思っています!

株式会社エスツー
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実際に活用した支援制度(補助金など)

  • デジタル技術活用非対面型イベント開催支援事業費補助金(秋田県)※スマートフォンアプリ