スマートな施工管理で業務バランスをキープ
稼働状況を可視化して適材適所の配置を実現
株式会社和賀組
代表取締役
和賀 幸雄
さん
株式会社和賀組(外部サイトに移動)
総合建設業を営み、主に土木や舗装、建築といった工事を行う「株式会社和賀組」。鉄道関連工事や住宅の地盤事業も手掛けるなど、さまざまな事業を展開しています。多くの仕事を請け負う中で課題になったのは、〈施工管理の効率化〉と〈適性な人員配置〉でした。デジタル技術の導入による働きやすい環境づくりは、どのように進められたのでしょうか。
デジタル技術の導入による働き方改革を推進
- 導入したデジタル技術の概要を教えてください。
- 2年ほど前から、地盤調査や地盤改良における施工管理の効率化を図るために、タブレットを導入しました。
また、日々変わる工事状況に合わせて行う人員配置を、システムでの管理に移行しました。 - きっかけを教えてください。
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デジタル化には、現場のスタッフの意見が反映されている。建築現場などにIT活用が推進されている一方で、地盤関連の事業は未だアナログで行う作業が多いという。
タブレットについては、地盤調査や地盤改良の現場スタッフたちから、「効率化を図るために導入してほしい」という声が上がったことがきっかけです。地盤関連の事業に関しては、年間を通して調査だけで約600件、改良依頼が約300件あり、その多忙さ故にスタッフたちの業務効率化への意識が高くありました。
導入前は、地盤調査や地盤改良をするにあたり、図面や書類、黒板など、多くのビジネスツールを現場へ持参していました。その上、現場作業後にデータを入力するためにオフィスに戻らなければならず、現場への移動を含めた拘束時間が長くなるために残業が常態化しており、労働時間削減への解決策を模索していました。
その後、タブレット導入が上手く効率化に結びついたので、「かねてより課題に掲げていた人員配置についても、デジタル技術の導入で解決できるのではないか」と思い、取り組むことにしました。従来は、早朝から管理職自ら現場を回って担当を割り振り、作業中も進捗を確認しながら指示を出すという昔ながらの体制でしたが、さまざまな事業を展開して業務が多様化する中で適性な人員配置が困難になり、生産性向上の大きな障害になっていました。時には作業者本人が、「明日、何処で、何の作業をするのか」を把握できていないということもあったのです。そこで、複雑化した現場の情報を集約し、効率的な管理を行うためにデジタルシステムによる体制へと移行しました。 - 導入にあたり、不安や課題はありましたか。
- タブレット導入については、作業にあたるスタッフがどこまで使いこなせるかということが不安要素でしたが、若いスタッフが多いためデジタルリテラシーも高く、すぐに使いこなすことができました。
人員配置システムについては、導入を検討した際に、シフト管理を行うためのパッケージ製品を調べましたが、建設業に応用できるものを見つけることが困難でした。そのため、ベンダーに依頼して当社に対応するシステムを構築してもらいました。導入後は、新システムへスムーズに移行できるか懸念していましたが、特に問題なく使いこなせています。 - 人員配置のためのシステムは、「ADK富士システム株式会社」に依頼したと伺いました。
- そうですね。ADK富士システム株式会社に依頼しました。過去にも同様のシステム開発の経験があったことからお願いしまして、しっかりと業務を理解してもらいながら、細かな意見のすり合わせを経て当社の要望を反映したシステムが完成し、うれしく思っています。
効率アップで働く意欲や業績がさらに向上
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翌日の就業現場などをメールで従業員に知らせるため、しっかり準備を整えて業務に取り組むことができる。
- まずタブレットに関してですが、導入後に業務量と残業時間が格段に減少しました。これまで抱えていた大量の資料やデータをタブレットに収め、地盤調査や地盤改良の現場へ身軽に向かうことができています。現場での図面や施工データの確認がスムーズですし、電子黒板も活用し、効率化できています。何より、オンライン上で現場と管理者がリアルタイムでつながるので、データのチェックと共有も簡単です。会社に居るスタッフがデータを受け取って即時にレポート化できるので、これまでのようにオフィスに戻ってから作業をする手間を省け、現場からスタッフが直帰できる体制が整いました。
次に、人員配置システムに関してですが、〈誰が・どこに・いつ居るか〉を可視化できるようになったことで、まさに適材適所の人員配置が可能になりました。全部門の作業員の就労予定先をシステムを通じて共有することにより、急な工程変更にも対応できています。どの現場もまんべんなくフォローできる体制が整ったことで、臨機応変な人員流動が促進され、業務バランスも改善されました。
働きやすい環境づくりをデジタル化で促進
- 今後はどんな展開を予定していますか。
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一人一台スマートフォンを所有するのが当たり前の現代。ライフ・ワーク・バランスを整えたいと、さまざまな角度で効率化を図り、ロスの削減に取り組む。
今回導入した人員配置システムをこのまま完結するのはもったいないなと感じていて、今後は、労務管理や原価管理に連携していきたいと考えています。
事業割合の大半を占める建築や土木の現場で働くスタッフは直行直帰が多く、少し前までは出退勤や労働時間については個々の申告制でした。そのため、集計も手入力になり、各現場や各工程で人件費がいくらかかったかなど、細やかな分析にまで手が回っていませんでしたが、システムで活用することで、人件費の管理が簡単にできるようになりましたね。出退勤の打刻と現場の情報を紐付けることで、〈どこに・どのくらい・どんな負荷がかかっているか〉が明確になります。また、勤怠管理を一本化し、出退勤に紐づく日報や走行距離の記録をはじめとする車両管理までをスマートフォンで管理できる体制を築くことができれば、管理する側も働く側もより効率的な業務が行えるようになると考えています。
- ほかにもデジタル化を検討していることはありますか。
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明治10年創業の同社。時代に即した変革を恐れず、新たな分野の開拓や最新技術の導入などに積極的に取り組み続ける。
現在検討しているのが、請求書の管理です。現在は、作業現場の管理者が、取引先から紙で来る請求書の内容を確認しています。内容が間違っている場合は、訂正のためのやりとりが必要で手間がかかっています。この業務を効率化するために、和賀組独自のシステムで請求書を発行してもらい、オンライン上で決済できる仕組みを整えるのも一つの方法と考えています。そうすることで、お互いの確認や経理上の手間を大幅に減らすことができます。建築や土木の業務は専門性が高いので、人員の最適化を進め、生産性の向上に努めたいです。 - デジタル技術の活用を検討している事業者様へ、メッセージをお願いします。
- ベンダーやシステムを開発する会社が、どこまで企業の要望と目的を理解してくれているかによって、デジタル化が上手くいくかどうか左右されると思います。企業としては、どうすれば生産性の向上につながるかを徹底的に議論することが必要不可欠でしょう。
当社は変化を恐れず、「従業員たちのライフ・ワーク・バランスを守りたい」と、より業務に邁進できる環境を整えてきました。システム導入ありきではなく、今抱える課題を解決することを目的に検討してみてはいかがでしょうか。
取組の様子を動画で見る
和賀組の取組の様子は、動画でもご覧いただけます。
システム導入を支援した方からのメッセージ
エイデイケイ富士システム株式会社
情報ビジネス部門 DX戦略部 DX推進課
課長補佐 佐々木 勇人、佐藤 翔太
システムを導入するにあたって、効率化できる作業、見直しが必要な作業、一つ一つを大切にしてシステムを開発しました。
お客様にもご協力いただき、多いときは週2回のペースでWeb会議を行うなど、細かなコミュニケーションを積み重ねたこと、また試験運用で出たご要望を素早く製品にフィードバックさせるサイクルの短さも、ご満足頂けた要因の一つだったと思います。
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