車両の位置情報や状況をリアルタイムで管理
業務効率化と安心・安全を促進する

有限会社石田運輸商会
代表取締役
石田 義光 いしだ よしみつ さん

有限会社石田運輸商会
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 秋田県産の農作物を大型トラックで首都圏へ輸送する事業を主軸とする「有限会社石田運輸商会」。〈安心・安全〉を第一に掲げ、かねてより輸送品質を保つための動態管理システムを取り入れていましたが、新たなシステムの導入で、記録・管理において活用の幅が広がったと言います。システム管理を担う石田代表に話を伺いました。

低コストで使い勝手の良い新システムに切替

3年ほど前から導入したという動態管理システム「MOVO Fleet(ムーボフリート)」。導入の経緯を教えてください

GPS機能付き通信型ドライブレコーダー。ドライバーの位置情報や動態の軌跡などをリアルタイムに把握することができる。

動態管理システムについては、平成13年に秋田県の補助を受けてすでに導入していましたが、使用していた通信回線網の廃止に伴い、使用できなくなってしまいました。以前のシステムは導入に伴う費用負担が高額でさらにランニングコストが加わることから、再構築はあきらめて新たなシステムを探していたのです。そこで、より安価でありながら、動態管理で必要な情報が得られる「MOVO Fleet(ムーボフリート)」を見つけ、導入を決めました。
物流業界においては近年、人材不足や長時間労働などさまざまな課題が浮き彫りになっています。当社でも労働環境改善への取り組みが急務であり、新たなシステムの導入動機の一つになりました。その解決には、正確なデータを得て解析することが不可欠です。全車の運行状況や荷役作業時間のほか、待機や付帯作業に費やす時間までを明確にすることで、問題点を荷主様と協議の上で解決へと導きたいと考えました。
「MOVO Fleet(ムーボフリート)」を選んだ理由は。
登録料などの初期費用がかからず、月額1,980円(新価格2,480円)/台のレンタル料のみで39台全車に導入でき、こちらが把握したい情報をリアルタイムに得られることでした。
また、「MOVO EYE(ムーボアイ)」で得た情報を自社のデータと組み合わせて広く活用できることが決め手になりましたし、取り付けが簡単なこと、管理者がコンピュータ操作する上でのわかりやすい画面や機能に加え、導入してからの手厚いサポート体制に期待が持てましたね。

リアルタイムに得られるデータをフル活用

「MOVO Fleet」を現在どのように活用していますか。

輸配送の遅延の原因を知り、即時解決するためのデータ取得に「MOVO Fleet」は欠かせない。管理者は、走行履歴や速度記録から的確な指示で遠隔サポートすることができる。

ドライバーの現状把握に上手く活用しています。現在地を知ることは「運行に遅延がないか」、そして「遅れの要因はどこにあるのか」を知る手段になりますし、ドライブレコーダー機能を備えていることで撮影して送られてくる現場の画像から天候や交通情報を管理者が把握し、状況に応じた経路の指示を即座に出すことにも役立っていますね。「遅れているんじゃないか」、「いつ届くんだろう」など輸配送の問い合わせがあった際は、遅延や到着予定時刻などの情報を的確に把握できるため、荷主様とのコミュニケーションにも役立っています。
また、全車の日報データをダウンロード後に加工することで、荷待時間や荷役時間などの記録表を作成したり、配送計画のアップロードデータを自動作成したりと、記録・労務管理のどちらの業務においても積極的に活用の幅を広げています。
導入にあたり、苦労したことはありますか。
大変だったのは、ユーザーや車両情報の初期登録ですね。特に地点登録が多く、荷主様の積み卸し先や、自社の物流拠点、高速道路のパーキング、道の駅、トラックステーションのほかドライバーが立ち寄りそうなスポットが800カ所ほどあり、苦労しました。
ですが登録の結果、連続運転時間や待機、休憩などの時間配分を得られたデータから解析することが可能になったのです。当社では抽出したデータを表計算ソフトに取り込んで活用しているため、後から検索データを抽出をすることを考えて、コードや名称の付け方を工夫してより使いやすくなるようにしました。

正確なデータがドライバーの安全意識の向上に役立つ

導入後、どのような成果が出ていますか。

ダウンロードしたデータは、自社ツールで必要な情報を抜き出して記録。データ化することでさまざまな改善点が可視化され、よりスムーズな運行を実現していくことができる。

業務の効率化につながっていますね。連続運転時間や待機、休憩など、業務に携わった時間などのデータをダウンロードし、必要に応じた加工をすることで、日々の記録がスムーズになり、運行管理に生かすことができています。管理に係る工数は、30%ほど削減されました。
さらに、管理者がドライバーの現在地や運行状況を把握していることで、仮眠・休息中のドライバーを無理に起こすことなく、業務上必要な連絡や点呼を行うことにも役立っています。双方にストレスがなくなったことはメリットでしたね。
デジタル化による相乗効果はありましたか。

ドライバーの状況が可視化されているため、安全意識の向上につながり、3年連続の無事故・無違反。ドライバーが居てこその当社で、「MOVO Fleet」が日々の運行を支える。

ドライバーの〈安心・安全〉な運転に対する意識の向上です。 導入当初より、スピードや連続運転時間の超過がなかったか、適切な休憩時間をとったかなど、運行業務にまつわるさまざまな記録・分析を続けて実情を把握し、問題があった際にはデータを元にドライバーへ注意喚起を行ってきました。それを継続したことで、ドライバーたちに安全運転に取り組む姿勢が見られたのです。運行状況が常に把握されていることに適度な緊張感と安心感が生まれ、意識改善につながったのでしょう。
毎年11月には、免許センターで運転記録証明書を取っていまして、3年連続の無事故・無違反で表彰されています。このことからも、ドライバーの安全意識が高まっているのは確かです。
今後、実現したいことはありますか。
動態管理システムの切り替えにより、システム単位で得られる情報が格段に向上し、当社が物流事業を展開する上で「MOVO Fleet」はなくてはならないものになりました。単に現在地を知るツールとしてだけではなく、とことん活用する方法を模索していきたいと思っています。今は独自ツールとの組み合わせで対応していますが、「過去の実績から運行計画をもっと楽に作成したい」、「高速道路の走行において、自動で速度しきい値を変えてほしい」などの要望がたくさんあるので、システムの更なるバージョンアップに期待しています。
また、現在、事業再構築促進補助金を活用して小さな物流の拠点を併設する準備を進めています。徹底した衛生管理と温度管理のもとで物流サービスを提供していくため、AIによる顔認証または生体認証を使って入退出管理をしたり、IoT技術を活用した物流のトレーサビリティの提供、食品の各温度帯に対応した保管倉庫の設置などに取り組みたいと思っています。

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