IoTを活用した機械の稼働状況の見える化で、生産性の向上へ

東光鉄工株式会社
機械事業部 生産管理課長
小畑 純 おばた じゅん さん

東光鉄工株式会社
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東光鉄工株式会社は、大館市に本社を置く「ものづくりのプロ集団」です。建築・土木・機械・ドローンなど、10事業部1研究所を展開し、幅広い分野で事業を展開しています。

同社の機械事業部では、人手不足の課題に対応するため、IoT技術を活用した機械稼働状況の見える化に取り組んでいます。取組の背景や将来の展望について、お話を伺いました。

リアルタイム監視で故障や停滞を早期発見

導入したデジタル技術について教えてください。

将来的にスマートファクトリーを目指す第一歩として、IoT技術を活用した工場内設備の稼働状況の見える化に取り組んでいます。各設備の稼働データを取得できるIoT監視ソフトウェアとモニターを導入し、工場と事務所の3台のモニターで、リアルタイムに稼働状況を監視できるようになりました。

導入から半年が経ち、稼働状況のデータが徐々に蓄積されてきました。今後は、これらのデータを様々な角度から集計・分析することで、生産プロセス上のボトルネックを明らかにし、生産性を向上させたいと考えています。

以前の体制では、どのような課題があったのでしょうか?

以前は、機械の稼働状況をリアルタイムに把握することができず、故障や不具合による停止状況をすぐに発見できなかったため、機械の停止時間が長くなり生産性が低下していました。

また、稼働実績の集計は、毎日各グループから報告を受け、終業後に1日分をまとめて行っていました。そのため、就業時間中は実績を把握することができないうえ、集計作業に手間がかかっていました。

リアルタイムな稼働状況と日付別の稼働実績グラフが表示
デジタル技術を導入したきっかけは何ですか。

人手不足が深刻化する中、今後は「次世代のものづくり」に対応していく必要がありました。そこで、デジタル技術を導入することで、少人数で生産性の高い工場を実現することを目指しました。

機械事業部には現在19名の社員が在籍していますが、そのうちベテラン社員は1名のみで、後継者となる若者の採用も難しくなっています。その中で、顧客先からコスト削減・増産・品質向上の要求を受けており、今後は工場内の自動化・省人化を進めることで、少人数でも顧客先のニーズに対応できる生産体制を作る必要がありました。

オペレーターの意識変化で段取り替作業時間短縮

導入前との違いは感じていますか。

工場のほか事務所にもモニターを設置したことで、稼働状況を監視する目が増え、いち早く機械の異変を発見することができるようになりました。

また、オペレーターの機械稼働に対する意識が高まりました。自分の担当機械を離れることなく、モニターでリアルタイムに稼働状況を共有し合うことができるため、後工程のオペレーターが前工程の状況を踏まえて自分の段取り替作業(=加工作業の準備)にとりかかるなど、意識・行動の変化が見られました。

当社のような小~中ロット生産の場合、加工プログラム作成や段取り替作業の所要時間を短くして早く製品を作り出すことが生産のポイントとなるため、段取り替作業への意識が向上したことはとても良い変化だと感じています。

他にも変化はありましたか。

ソフトウェア導入によって工具管理が一元化され、工具交換の効率性が向上しました。その結果、夜間稼働時の安心・安全性の向上につながっています。

マシニングセンタの工具には、使用できる期間の目安があります。夜間に工具が寿命を迎えて故障すると、生産が停止してしまうため、適切な工具管理が必要です。以前は、各機械ごとに工具管理を行っていましたが、ソフトウェアで一元化することにより、夜間稼働に向けて適切なタイミングで工具を交換できるようになりました。

スマートファクトリー化で人手不足解消、次世代のものづくりへ

今後はどのような展開を予定していますか。

現在はスマートファクトリー化を進める土台ができた初期段階です。まずは機能を使いこなしていくことを直近の目標としていますが、最終的には、工程管理のデジタル化も進め、工場内の一部を完全自動化することを目標としています。

そこで、次のステップとしては、加工プログラムの作成と加工シミュレーションを事務所PCで行えるようにしたいと考えています。現在は各機械担当のオペレーターが設計書に基づいて加工プログラムを作成して、直接機械に入力しています。今後は事務所にプログラム作成専門のスタッフを常駐させ、作成したプログラムデータを機械へ転送できるような体制を整えたいと思います。

また、今回は機械事業部を対象にデジタル化に取り組みましたが、将来的には全社的なスマートファクトリー化に取り組む必要があると考えています。事業部によって扱う製品が異なるため、機械事業部のデジタル化の内容をそのまま他の事業部に横展開することはできませんが、デジタル化の基本的な考え方や設計は共通していると思いますので、今回の経験を役立てていきたいと思います。

デジタル技術の活用を検討しているほかの事業者様へ、メッセージをお願いします。

当社がデジタル化に取り組んだ背景には、「会社存続の危機」がありました。大館市周辺の学校では、生徒数が年々減少し、就業する若者の母数自体が減少するうえ、専門の技術力が求められる製造業への就職を敬遠する若者が増えてきており、事業の継続が困難になる可能性が高まっています。

当社では、デジタル化によって、経験が少ない非熟練工でもベテラン職人と同等のクオリティで部品加工できるような仕組みを新たにつくることで、人手不足への対応と、製造業で働くことへのハードルを引き下げたいと考えています。

現代の技術は著しく進歩しており、次々と新しいものが生まれ、今までできなかったことができるようになっておりますので、うまく事業に取り入れながら活用していくことが大切だと感じています。

中期経営計画では「システム改革によるグループ基盤強化」が成長戦略の一つとなっている
(東光鉄工株式会社公式ホームページより)