「kintone」で実現するリアルタイム共有と業務効率化

大館桂工業株式会社
総務課
安彦 千奈 あびこ ゆきな さん

大館桂工業株式会社
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大館市において「安心と安全、人にやさしい未来づくり」をキャッチフレーズに、公共施設の設備関連、上下水道、交通信号機、鉄道信号、一般住宅の新築から保守点検まで様々な工事を請け負う「大館桂工業株式会社」。

紙ベースの勤怠管理や受注管理、基幹システムや台帳への二重転記作業などの生産性向上を課題に、クラウド型業務アプリ作成ツール「kintone」を駆使して業務効率化に取り組んだ道のりを伺いました。

アナログな勤怠・受注管理の時間ロスと手間

導入したデジタル技術について教えてください。

紙で運用していた勤怠管理や受注管理、休暇申請などの効率化・可視化のため、「kintone」を活用し、自社でクラウド型業務アプリを作成しました。

「kintone」は、プログラミングが未経験の場合でも簡単な操作でシステム化を実現できるため、日々アプリ作成を進めながら機能を理解し習熟することが可能です。

また、自社でアプリを作成したことで、業務変更に柔軟に対応し、修正やメンテナンスも容易に行える環境となっています。

デジタル技術を導入したきっかけは何ですか。

様々な業務管理や運用方法に課題を抱えていた中、リコージャパン株式会社主催の展示会で「kintone」を知りました。

このアプリを使うことで紙管理からデータ管理への移行や、基幹システムへの入力作業の効率化など、これまでの課題に対する解決策が具体的に見えたことが、デジタル技術を導入する決断の要因となりました。

以前の体制では、どのような課題がありましたか。

勤怠管理においては、各自が専用の様式に手書きで1か月分の勤怠情報を記入し、月初めに総務担当者が手動で集計後、基幹システムへ手入力していました。

総務担当者2名で、社員数約120人分を、定型の勤務時間だけではなく、残業した時間を考慮して手計算していたため、1週間ほどの時間を費やしていました。また、給与に関係する業務でもあるため、何度も慎重にチェックする必要があり、大きな作業負荷となっていました。

受注管理においては、年間で2000~3000件の受注案件がありますが、現場担当者が受注情報をExcelに手入力し、出力した紙を関係部門へ回覧して決裁を行っていました。また、決裁が完了したものは、総務担当者が基幹システムへ手入力し、専用の台帳にも手作業で転記して受注情報を管理していたため、二重の作業を行っていました。

繁忙期には手が回らず、溜まった受注案件をまとめて処理することがあり、残業時間が増加したり、基幹システムや台帳への反映にタイムラグが発生したりすることもありました。

休暇申請に関しても、紙による管理が行われていたため、社内でリアルタイムに休暇状況を共有することが難しい状況でした。 

左:従来は案件ごとに受注台帳を手書きで記入 右:現在はクラウド上で全て完結するため、手書き作業は不要に。

「kintone」による一貫アプリ作成、手書きや転記作業が不要に

導入前との違いは感じていますか。

「kintone」で作成したアプリにより、ほとんどの作業をクラウド上でシームレスに完結することが実現しました。

勤怠管理においては、現場から事務所に戻らずに、いつでもどこでも勤怠情報を入力できるようになりました。入力した内容は、「kintone」で設定した関数により自動的に集計され、出力したcsvファイルを基幹システムに取り込むことで効率的に反映できます。これにより、1週間かかっていた入力作業が、数回のクリックで終わるようになり、作業時間が数分に短縮されました。

受注管理についても、案件の入力から回覧、決裁までがアプリ内で一貫して行える仕組みを確立しています。勤怠管理同様に、登録データを数クリックで基幹システムに反映することが可能となり、手書きの台帳記入が不要になりました。以前は紙の回覧で「今、受注書はどこで止まっているの?」という問い合わせもありましたが、アプリ内で回覧状況が可視化されたことで問い合わせもなくなりました。

また、紙の出力が不要になったことで、ファイリングの手間や保管場所の確保、年度のファイルの入れ替え作業にも悩むことがなくなりました。

導入前は従来の運用が当たり前だったため、社内から不満の声は聞こえていませんでしたが、現在は「今までのやり方は本当に大変だったんだな」という共感が広がり、かなりの業務効率化の成果を実感しています。

過去年度のファイリング、現在では紙の出力はゼロ。

導入前には想定していなかった使い方やメリットはありますか。

残業時間や休暇申請など、様々な情報がリアルタイムで共有可能になったことで、課内で「最近、残業が多いけど、大丈夫か?」などの声が自然発生的に広がり、協力体制が強化されていると感じています。

また、休暇の申請状況はアプリ上でカレンダー形式で確認できるようになり、他の社員の休暇状況を確認しながら、休暇をスムーズに取得できるようになりました。

さらに、デジタルに慣れていないベテラン社員と得意な若手社員とのコミュニケーションが促進され、新たなコミュニケーションの場が生まれています。

導入に当たって工夫された点はありますか。

自社業務の細部まで考慮した設計にすることと将来的なメンテナンスのしやすさを重視し、外部によるサポートは受けず、自社でアプリ作成を進めました。

また、アプリが完成した際、新しい運用切り替えによるトラブルや問い合わせを予測し、全従業員に向けて説明会を開催したり、今までの手法と並行してアプリを活用するための助走期間を設定したりするなど、スムーズな移行を図りました。

さらに、勤怠管理や受注管理業務を担当していた社員を、サポート担当者として配置し、現場の関係者が質問や相談をしやすい環境を整えました。同時に、従来の業務を良く知る担当者がアプリを実際に操作しながらバージョンアップを行うことで、機能の向上や最適化を図り、より効果的なデジタル化を実現できています。

デジタル技術の導入がコミュニケーションのきっかけに。

長時間労働や人手不足の克服に向けた前進

今後はどのような展開を予定していますか。

今回ご紹介したアプリ以外にも、福利厚生施設※1の予約状況を管理するアプリや、慶弔申請アプリなど、約70種類のアプリを「kintone」を活用して作成しました。

今後も、現場からのリアルな声をもとに、「こんなアプリがあれば便利だな」「既存のアプリの使いやすさを向上させてほしい」といった要望に応じ、より実用的なアプリを増やしていく予定です。

また、現在アプリを作成できるのは総務担当3名と他部署1名だけですが、将来的には現場社員も含めて、アプリの作成スキルを持つ社員を増やしていくことで、様々な角度からの意見が生まれ、より複雑なアプリの作成も可能になると思います。

これにより、さらなる業務の効率化を実現し、働きやすい環境作りを進めていきたいです。

 ※1:社員、家族等利用無料で宿泊可能な施設(ANAホリディ・インリゾート安比高原ヒルズ)

  デジタル化と合わせて、下記のような社員が働きやすい環境づくりも行っています。

  ・同ビル内に設置の企業型保育施設 ※社員価格で利用可能

  ・資格取得手当、指定資格取得のお祝い金

  ・同ビル内に社員専用のトレーニングルーム設置 無料利用可能 など

最近整備したばかりのトレーニングルーム
デジタル技術の活用を検討しているほかの事業者様へ、メッセージをお願いします。

建設業においては、長時間労働や人手不足が課題とされています。その中で業務の効率化や生産性の向上が不可欠だと考えます。新たな取り組みには当然ながら抵抗を感じるかもしれませんが、将来を見据え、業務改善の一環として積極的にデジタル技術を導入してみてはいかがでしょうか。

実際に当社が活用した「kintone」は、ドラッグ&ドロップで直感的にアプリを作成でき、ヘルプ機能も備わっているため、わからないこともほとんど解決できます。非常に使い勝手が良いアプリですので、デジタル化の手段としてぜひ検討してみてください。

デジタル化やDXを進めることで、秋田県においてより良い企業が増え、業界全体の発展に寄与することを期待しています。