地域の活性化を目指して
デジタル技術の導入で顧客満足度の向上と効果的なマーケティングを実現
ハミングカード協同組合
副理事長
田中 喜昭
さん
ハミングカード協同組合(外部サイトに移動)
花輪大町商店街を中心に、鹿角市全域でポイントカード事業を行うハミングカード協同組合。現在、99店舗が加盟し、ポイントカード発行数は2万9千枚を超えています。クラウド上でポイント管理を可能にしたシステムの導入と、購買履歴等のデータを活用して地域の活性化を目指す取組について伺いました。
クラウド上でのポイント管理とデータの収集が可能に
- 導入したデジタル技術について教えてください。
平成26年にICカード方式のポイントカードへ変更し、ポイント管理等をクラウド上で行うことができるシステムを導入しました。
加盟店に設置されたタブレット端末にポイントカードをかざすと、クラウド上でポイントの付与や電子マネー による決済・チャージを行うことが可能です。また、購買履歴等がクラウド上でデータとして蓄積されるため、加盟店はデータを活用して販売戦略に役立てることができます。
ポイントやデータ管理がクラウド上で可能に。
- 旧ポイントカードでは、どのような課題がありましたか。
以前は、専用のカードリーダーで顧客名やポイント数をカード表面に印字する方式を採用していましたが、ポイントカードの履歴データは加盟店の電話回線を使用して夜間に更新される仕様になっていたため、データの反映に時間を要していました。夜間に電話回線を抜いてしまう加盟店もあり、データが正確に蓄積できるような状況ではありませんでした。
- ICカード方式のポイントカードになり、どのように変化しましたか。
IC カード方式では、クラウド上にある利用者のデータとポイントカードの IC が紐付けされているため、ポイントカードを利用した際にリアルタイムで、クラウド上のデータに反映されるようになりました。さらに、カードリーダーの端末がタブレットになったことで、端末費用も以前の3分1とコスト削減にも繋がっています。
また、ポイント付与などの管理が簡易化され、電子マネーの機能を追加することができました。その結果、SNSフォローや電子マネーのチャージによりポイントをプレゼントするなどのキャンペーンを行うことが可能になり、顧客満足度の向上につなげたほか、鹿角市と共同でプレミアム商品券事業を実施することができました。
-
加盟店の売り上げ&顧客満足度が向上
- データ活用前との違いは感じていますか。
データの蓄積・分析が容易になり、加盟店はデータを販売戦略に役立てることができるようになりました。一部の加盟店では、収集したデータを活用して、顧客層ごとにクーポンやダイレクトメールを送るなど、効果的なアプローチが可能となり、来店率や売り上げが向上しました。ダイレクトメールがきっかけとなり、継続的な来店につながった事例もあります。
- 加盟店やカード利用者の反応はいかがですか。
導入当初、加盟店からはタブレット端末の操作について不安の声がありました。しかし、以前のカードリーダーよりもタブレット端末のほうが直感的な操作が可能なため、いざ使用してみると「こちらのほうが使いやすい」などと言っていただけました。
また、データ活用により来店率や売り上げが向上した事例を加盟店で共有した結果、個々のデータを活用し店独自の販売戦略を立て、実行する加盟店が増えてきています。
さらに、当組合が主催したSNSフォローや電子マネーチャージによるポイント付与キャンペーンは、多くの利用者に参加していただき、好評を得ています。電子マネー機能も、利用者からは便利になったと大変喜ばれました。
ポイント数の記載されたレシート。様々なポイント付与キャンペーンを行っている。
- 導入に当たって工夫された点は何ですか。
加盟店への丁寧な操作サポートやタブレット端末の無償提供、組合費の不徴取などを実施することにより、加盟店の負担が少なくなるようにしました。そのため、システム導入時には大きな反対もなく進めることができました。
店頭のタブレット端末でポイント付与、電子マネー決済・チャージ、レシート発行が可能
-
スマートフォンアプリでさらに便利に
- 今後はどんな展開を予定していますか。
ポイントカード機能をスマートフォンで利用できるアプリのリリースを予定しています。現在、ポイント数やチャージ金額を確認するためには、加盟店で発行されるレシートを確認するほかに手段がありませんが、アプリではいつでもポイント数を確認することが可能になります。また、QRコード決済機能や加盟店からのクーポンを個別に発行する機能を実装したいと考えています。
そのほかにも、地元の利用者だけでなく、アプリを通じて観光客向けのデジタルクーポンの発行などを検討しており、地元の地域通貨として、地域の活性化に貢献し続けていきたいと思います。
- デジタル技術の活用を検討しているほかの事業者様へ、メッセージをお願いします。
ネット通販や大型商業施設の事業拡大により、商店街などの昔ながらの商業サービスは今後ますます経営困難な状況になっていくことが予想されます。そのような状況のなかで、データを収集し、活用することは非常に重要だと考えます。データ活用により、経験則だけでは分からなかったことも分かるようになりました。
データが活用できるほどに蓄積するには時間がかかります。データ活用を検討されている方は、なるべく早くデジタル技術を導入することをおすすめします。