施工体制の強化を目指して
業務システムの統合により業務効率化を実現

本荘電気工業株式会社
専務取締役 営業本部長
橘 芳博 たちばな よしひろ さん

本荘電気工業株式会社
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オフィスビルや空港、トンネル、ソーラー発電所などの電気設備工事全般を中心に、電気通信工事、機械器具設置工事、消防設備工事を施工している本荘電気工業株式会社。「お客様と社会と自らのため」を理念に、信頼される品質の提供を目指しています。

今回は、業務効率化に向けたシステムの一元化やデジタル人材の活用などの取り組みについてお話を伺いました。

分散したシステムによる非効率な事務作業

導入したデジタル技術について教えてください。

業務の効率化を図るため、当社では、建設・工事業向けの勤怠管理クラウドサービス「勤CON管」を株式会社フィデア情報総研の協力により導入しました。これにより、出退勤や現場での作業時間の記録に加え、休暇・残業の申請から承認までを一元管理できるようになりました。

また、施工管理アプリ、コミュニケーションツール、名刺管理アプリなど、様々なデジタルツールを活用することで、現場での作業効率の向上を図っています。

導入した勤怠クラウドサービスのシステム画面

旧システムでの管理体制では、どのような課題がありましたか。

以前は、出退勤記録、休暇・残業申請、作業時間はそれぞれ別のシステムで管理していたため、同じデータの二重入力や誤入力といった問題が発生していました。そのため、給与担当者が全社員分のシステムへの入力内容を確認する必要がありました。

また、出退勤については現場にあるタイムカードで記録していましたが、休暇や残業の申請や現場の作業時間などのシステムへの入力は、事務所に戻り、パソコンから手作業で行うため、多くの時間を事務作業に費やしていました。
デジタル技術を導入したきっかけは何ですか。

2024年から建設業の労働時間の上限規制が実施され、残業時間の縮減が求められる中で、施工体制を強化・拡充し、品質の高い工事を提供するためには、現場作業に集中できる環境や技術力向上に向けた社員教育にかける時間の確保が欠かせません。そのため、業務プロセスを見直し、効率化する必要があると考え、デジタル技術の導入に至りました。

導入に当たり、何か課題はありましたか。

通常の業務との兼務では、システムの一元化を検討することが困難であり、また、幅広いIT知識と経験が必要だと判断しました。

そこで、3年前にシステム会社の勤務経験者をIT担当として迎え入れ、デジタル化の推進を専任で任せることにしました。彼はシステム統合だけでなく、情報機器のトラブルシューティングにも対応しており、社内のITに関する相談窓口としての役割も担っています。

業務改革プロジェクト発足し、全社的な取り組みを推進

導入前との違いは感じていますか。

出退勤記録、休暇・残業申請、現場毎の作業時間の情報が一元化されたほか、既存システムとのデータ連係が可能なため、事務作業に要する時間が大幅に短縮されました。

また、事務作業の効率化により生み出された時間を活用し、月に2回、全社で若手社員向けの現場スキル向上を目的とした社内講習を実施できるようになりました。その他にも、リアルタイムで各社員の残業時間を把握できるようになったことや、システムが自動で36協定違反のリスクを検知し、通知してくれることから、労務管理が容易になりました。

これまで事務所に戻った際にまとめて入力していた作業時間などは、現場作業員へタブレットを配布し、各工事現場においてリアルタイムで入力が可能となっています。これにより、作業時間などが正しく記録され、各工事現場の収支状況を正確に把握できるようになったほか、給与担当社による確認作業の負担も軽減されました。自社の稼働状況と各工事現場の収支状況から、今後の受注判断に生かすことができるようになり、経営戦略にも役立てています。

パソコンやスマートホンから勤怠などの情報が入力可能に

そのほかのデジタル技術の活用状況についてはいかがですか。

導入した施工管理アプリは、現場の進捗管理や図面管理だけでなく、チャット機能も搭載しているため、工事部だけでなく全社的なコミュニケーションツールとして活用しています。在宅勤務中の連絡やグループ内での情報共有に特に役立っています。

また、若手社員の日常業務の様子など、より会社の雰囲気が伝わるような情報をSNSで発信し、採用活動に活用しています。SNSを活用した採用活動を開始した今年度は、4名の入社が内定し、そのうち2名が女性という結果になり、その効果を実感しています。
社内のデジタル化を推進するために工夫している点はありますか。

工事部だけでなく、営業部や役員など、幅広い部門の社員が参加する「業務改革プロジェクト」という会議を開催しているほか、Googleフォームを活用した全社アンケートを実施し、業務における課題や改善点などを広く募り、若手社員の声も積極的に取り入れながら、デジタル技術を活用した業務改革を検討しています。

また、社内のデジタル化の推進を強化するため、県の事業を活用して、社内のデジタル人材育成や、SNSを活用した採用活動に取り組んでいます。

さらに、社内における資格者情報のデータ管理に向けたシステム化は、県のDXポータルサイト「AkitaDex」のシーズ・ニーズマッチング機能(※1)を活用しました。自社製品だけでなく、市場にあるツールなど、客観的な視点で提案をいただけたので、大変参考になりました。

※1・・・シーズ・ニーズマッチング機能:デジタル技術の活用に関わる、解決したい課題や求める情報を
     サイトに登録すると、県内ICT関連企業から提案をもらうことができる機能。
     詳細はこちらから→https://digital.pref.akita.lg.jp/support/matching

社員の声をカタチに 効果的なデジタル化へ!

今後はどんな展開を予定していますか。
現在、資格管理システムの導入作業を進めているほか、給与明細の電子化についても検討を進めています。業務効率化をさらに進め、社員が付加価値の高い業務に集中できる環境づくりを目指します。
また、この取組を進めていく中で、社員から前向きな意見や提案が増えてきたことは、非常に嬉しく思います。今後も、社員の意見を積極的に取り入れ、風通しの良い職場環境を醸成することで、より一層、企業全体の成長に繋げていきたいと考えています。

デジタル技術の活用を検討しているほかの事業者様へ、メッセージをお願いします。

お客様や社会のニーズがますます多様化する中、デジタル技術の活用は企業にとって不可欠な要素となっています。デジタル技術を有効に活用することで、自社の成長だけではなく、顧客満足度や社会全体の発展に貢献できると考えています。

デジタル化に関するすべての技術を自社で開発することは難しいと思いますが、専門家や外部の力を借りることで、より効率的かつ効果的にデジタル化を進めることができます。ぜひ専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

皆様の取組が素晴らしい成果を生み出すことを心から応援しております。

システム導入を支援した方からのメッセージ

橘 芳博

株式会社フィデア情報総研
民需営業部
小林 了さん

今回の勤怠管理システム導入にあたり、本荘電気工業様から提示された要件は、36協定に関わる残業・労働時間を管理するだけでなく、工事現場毎に集計された労働時間(作業工数)が、「会計」~「原価管理」~「給与計算」の各業務システムに自動連携され、業務全体の効率化を図りたいというものでした。
幸い、現在ご利用いただいている基幹業務システム(建設・工事業向けERP)とAPI連携する「勤CON管」というクラウドサービスの機能がその要件を満たしていること、専用のタイムレコーダーやIDカード等が不要なため、導入~運用コストが最小限に抑えられることからご採用に至ったものと捉えております。
単なるデジタル化ではなく、情報の横断的活用によって全社的業務効率化が実現されたことは、施工工事の品質向上にもつながるものと確信しております。
弊社といたしましても、更なる業務改善(デジタル化推進)に寄与できるよう、最適で効果的な提案を心がけてまいります。

株式会社フィデア情報総研
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実際に活用した支援制度(補助金など)

  • 企業内デジタル人材育成事業