契約業務の電子化による業務効率化とコスト削減
既存システムとの連携でスムーズな移行を実現

秋田製錬株式会社
工務部
目黒 善隆 めぐろ よしたか さん

秋田製錬株式会社
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国内最大規模かつ世界最高峰の品質を誇る亜鉛製錬所である秋田製錬株式会社。世界で唯一のヘマタイト法を採用し、有価物を高効率で回収することで、廃棄物を出さない環境にやさしいものづくりを行っています。コスト削減・効率化を目指して導入した電子契約クラウドサービスにおける導入時の工夫や効果についてお話を伺いました。

社員の退職やインボイス制度の開始が導入のきっかけ

導入したデジタル技術について教えてください。

弊社は、生産設備の修繕工事等を行う際、注文書や注文請書、請求書などを発行し協力会社と工事契約を行っていますが、この一連の契約業務を電子化しました。 既存の工事管理システムと電子契約クラウドサービスを連携させることで、注文書の発行から承認、契約完了までが自動で完了します。 

契約業務が電子化したことで、印刷・郵送などの紙運用ならではの手間がなくなったほか、収入印紙や印刷代等のコストが削減されました。

PDF化・契約までがひとつのシステムで完了する

デジタル技術を導入したきっかけは何ですか。

長年にわたり修繕工事の契約業務を担当していた社員が定年退職となり、各社員の業務負荷が増えたことがきっかけです。 弊社では、年間約4000件の工事発注があり、注文書や請求書を紙で印刷し、押印・郵送といった紙運用特有の作業負荷に課題を感じていました。

また、今までは複数の修繕工事をまとめて契約していましたが、インボイス制度の開始により、1件ごとに契約を交わす必要があり、作業量が大幅に増えることが見込まれていました。そこで、この契約業務の業務負荷の軽減とコストを削減・正確性の向上ため、電子契約クラウドサービスの導入を決めました。

導入にあたり、なにか課題はありましたか。

電子契約クラウドサービス導入には、契約の相手方である協力会社の承諾が必要でした。工事関連の協力会社は150社程あり、各社に電子契約への移行について事前説明や操作方法の説明などを行いました。

他にも、電子契約クラウドサービスを導入することで新たな作業工程が発生しないよう、既存の工事管理システムと連携させる必要がありました。

業務効率化・コスト削減・正確性の向上など、電子化の効果を実感

導入前との違いは感じていますか。

紙書類の印刷数が大幅に削減され、封筒への封入や宛名書き・運搬・郵送などの作業が不要になったことで、社員の業務負担が大幅に削減されました。これにより、担当者は本来の業務に集中できるようになり、業務効率が向上しました。また、手作業によるミスがなくなり、契約事務における正確性が向上した点も大きな違いです。さらに、紙の印刷代や郵送代、印紙代といったコストが削減されました。

その他にも、契約の進捗状況をシステム上で確認できるようになることや、過去の書類を探す時間が効率化されたことなど、様々な電子化によるメリットを感じています。

工事にかかる進捗がシステム上で一目で確認可能に

導入に当たり、工夫された点は何ですか。

既存の工事管理システムとのAPI連携により、従来の業務フローを大きく変えずに電子契約化を進めた点です。電子契約化による作業増加が起こらないよう、既存のシステム上の作業が完了すると自動で契約まで進むようにしました。

また、協力会社の承諾を得るため、導入前には操作や電子契約による協力会社側のメリットを丁寧に説明しました。導入後にも、操作で不明な点があれば電話で対応するなど、継続してフォローを行いました。

※API・・・異なるソフトウェアやシステム同士が情報をやりとりするための仕組み。

現場社員の反応はいかがですか。

以前と比べ、印刷・押印・郵送といった紙運用による事務作業にかかる時間が削減され、大変喜ばれました。特に、月末は業務量が増え、残業することもありましたが、電子化により業務が効率化され、契約業務に関する残業時間も削減されました 。また、書類の不備がないかといった精神的なプレッシャーも軽減されたと話す社員もいます。

また、協力会社でも印刷の手間や印紙・印刷にかかるコストが削減され、好評です。

制度の対応にとどまらず、デジタル化を推進することが重要

システム導入等をサポートした企業様の印象をお聞かせください。

弊社の要望に対して対応するだけでなく、専門的知見からより良い提案をいただけました。今回の契約業務の電子化についても、理想的な形で実現していただけたと考えています。

今後はどのような展開を予定していますか。
現在は工事関連書類に限定して電子化に取り組んでいますが、今後は社内の稟議書類についても電子化を進めるなど、デジタル技術によりさらなる業務効率化を図りたいと考えています。
デジタル技術の活用を検討しているほかの事業者様へ、メッセージをお願いします。

インボイス制度への対応という、避けては通れない課題が導入の大きなきっかけとなりましたが、この取り組みは制度対応にとどまらないものであると思います。業務負担の軽減や、紙の管理・保管、コストや手間の削減、そして業務の正確性向上といった、デジタル化による多くのメリットを享受しています。デジタル化への第一歩を踏み出す際には、社内外の関係者の理解と協力が不可欠です。

少子高齢化の進行により、今後は一層の業務の効率化が求められます。デジタル技術をうまく活用することで、持続的な経営基盤を築いていきましょう。

システム導入を支援した方からのメッセージ

目黒 善隆

株式会社アキタシステムマネジメント
システム部 システム1課
吉田 祐己 さん

インボイス制度をきっかけに「業務が煩雑になる部分を電子契約にしたい」とのご要望をいただき、伴走させていただきました。
お客様の中で『目的』と『求められる効果』が明確だったので、私どもでは『手段』の部分についていくつか提示させていただき、それを既存の工事管理システムに落とし込んでいくという作業を担当いたしました。工事管理システムはすでに運用に乗っているものですので、API連携で従来業務の流れに悪影響がないものを選定、構築いたしました。
導入にあたってのお取引先様への周知等、お客様主導で対応していただいたことも成功の大きな要因だったのではないかと思っています。インボイス対応はケースによって業務への影響が大きくなるのですが、秋田製錬様はまさにそのパターンにあてはまり、それを機に制度への対応以上に価値あるデジタル化を実現された好例と感じております。
また、工事管理システムも更なる機能向上や効率化のご要望もいただいており、今後ともお力添えできるよう弊社も尽力してまいります。

株式会社アキタシステムマネジメント
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