AI画像検査とロボットの導入により製造工程を全自動化
~外観検査、識別、箱入れ作業を無人化、工程間物流のムダを削減~
大橋鉄工秋田株式会社
執行役員
久保 森俊
さん
大橋鉄工秋田株式会社(外部サイトに移動)
秋田県横手市で自動車部品の製造を行っている大橋鉄工秋田株式会社。2025年度には業務改革推進課を新設し、デジタル技術を活用した組織全体の変革を推し進めています。同社が導入したAI画像検査の運用効果と今後の展開について伺いました。
既存システムを活用し、省人化を推進
- 導入したデジタル技術について教えてください。
- カーメーカーが開発したAIアプリを活用し、カチオン塗装工程にAI画像検査を導入しました。
- 塗装した部品を複数の角度から撮影し、AIが良品・不良品を判定します。
- また、不良判定された画像データを蓄積・分析することで、不良の傾向把握や改善活動にも活用しています。
- このAIアプリは、もともと別の部品の製造ラインで、クリップやプロテクターなどの構成部品の組付け状態を確認するために開発されたものです。
- 今回は、その仕組みをカチオン塗装工程の検査へ応用しました。
- さらに、検査後の部品の取り外しや箱詰めなど、人が行っていた作業をロボット化することで、カチオン塗装工程の全自動化を実現しました。
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ロボットを活用し自動化完成品の箱つめ、払出しも自動化
- 導入前にはどのような課題があったのでしょうか。
- 若者の県外流出や人手不足といった、地域が抱える問題があり、弊社でも人材を確保するために、DXを積極的に導入することで魅力ある会社でありたいと考えました。
- 今回の検査工程においては、最終工程で、検査ミスが許されないという精神的負担と、高い集中力を維持し続けなければならない作業負担を軽減することを目的として、塗装品質の目視検査を自動化し、検査品質の安定化を図るためAI画像検査を導入しました。
- 導入に当たっての課題はありましたか。
- 2つありました。
- 1つ目は、カメラや照明、背景といった検査環境の整備です。
- 安定した検査判定を実現するため、本社(愛知県北名古屋市)と連携し、約5か月にわたり検証を重ね、最適な検査環境を構築しました。
- 2つ目は、AIに学習させる不良データの不足です。
- もともと不良発生率が低い工程のため、AIの学習に必要な種類・数量の不良サンプルを十分に収集できませんでした。
- そのため、自社で不良サンプルを作成するなどの対応を行いましたが、それでもすべての不良パターンを網羅することはできず、量産開始当初は過検出(良品を不良と判定する現象)が一定数発生しました。
AI画像検査により、検査精度の向上、業務改善を実現
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導入前との違いは感じていますか。
導入する前は、作業者の体調や習熟の差によって、どうしても検査結果にばらつきが出ることをゼロにするのは、なかなか困難でした。
AI画像検査を導入してからは、そうした問題が解消され、検査の安定性がより向上しました。
また、従業員の負担の面についても、検査のプレッシャーから開放されたことに加え、ロボットによる自動化によって、従業員の作業量の削減や残業時間の削減にも大いに役立ちました。
さらに、蓄積された不良品データ(写真)が現場改善につながりました。これまでも、不良と判断された部品を見ることはありましたが、AI画像検査を導入したことで、不良品が画像データとして蓄積されるようになり、どのような不良が起きやすいかなどの傾向分析が容易に行えるようになりました。
- 従業員の反応はいかがですか。
- 当初は、AIの過検出で再検査が多く必要で、現場に迷惑をかけてしまいましたが、AIの追加学習を進めることで、検査精度が向上し、従業員のAI検査に対する信頼を高めたことで、作業の負担が軽減されたという前向きな意見も多く出るようになりました。
様々な技術を用い、さらなる業務改善を目指す
- 今後はどのような展開を予定していますか。
- 現在は、動作解析と表情解析を活用し、手作業工程の品質向上と人材育成に取り組んでいます。
- 動作解析では、AIが標準作業からの逸脱を検知し、作業者へ異常を知らせる仕組みの構築を進めています。
- また、秋田大学との共同研究では、作業者の表情からストレスや疲労を解析し、習熟度や作業の難しさを評価する技術の開発を進めています。
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この共同研究の目的は研究そのものではなく、デジタル技術やAIを活用して現場の課題を解決できる人材を育成することです。
- デジタル技術の活用を検討しているほかの事業者様へ、メッセージをお願いします。
- まずは、「やってみよう」と一歩踏み出すことが大切です。
- 生成AIの普及により、デジタル技術を導入するハードルは以前より大きく下がっています。
- 一方で、デジタル技術は導入することが目的ではなく、現場の課題を解決し、人を育てるための手段です。現場の声を大切にし、全員で改善に取り組む職場づくりが重要だと考えています。
