点呼業務と仕分け作業のデジタル化で、負担軽減や仕分け精度の向上を実現
段階的導入や関係企業との連携で進める、物流のDX

六郷小型貨物自動車運送株式会社
秋田南営業所 所長代理
五十嵐 友哉 いがらし ともや さん

六郷小型貨物自動車運送株式会社
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秋田県美郷町で食品をはじめとした各種製品の輸送を担っている六郷小型貨物自動車運送株式会社。創業71年の歴史を持つ老舗企業として、秋田の物流を大きく支えています。今回は、秋田南営業所で導入した「遠隔点呼システム」と「ハンディターミナル」の運用効果について伺いました。

常駐による負担とヒューマンエラーの解消に向け、点呼と仕分け作業をデジタル化 

導入したデジタル技術について教えてください。
弊社が導入したシステムは、遠隔で点呼を受けられる「遠隔点呼システム」と、商品のバーコードを読み取る「ハンディターミナル」の二つです。
トラックドライバーは出発時と帰着時に、運行管理者からの点呼を受けなければなりません。
「遠隔点呼システム」は、そのような各営業所での点呼作業を、本社とウェブカメラでつなぎ、本社の運行管理者からリモートで点呼を受けることができる、国土交通省認定のシステムです。
こちらの導入に当たっては、「デジタル化・AI導入補助金」を活用しました。
また、運行管理システムと連動させることで、運行データの収集の効率化も実現しました。
  
ドライバーはカメラに顔を合わせる
本社の運行管理者とZoomでつながる                                     
仕分けでは、「ハンディターミナル」を導入しました。
この機械で商品のバーコードを読み込むと、どのケースに商品を入れればよいか画面に番号で指示が出されるといったシステムです。
こちらは、「物流効率化等支援事業費補助金」を活用し、荷主企業様にもご協力をいただいて導入しました。
  
商品のコードを読み取る
画面で指示されたケースに入れる                                     
導入前にはどのような課題があったのでしょうか。
点呼業務については、深夜帯や休日に出発するドライバーは数名で、点呼も数分であるにもかかわらず、そのために営業所に運行管理者を24時間365日常駐させなければならず、大きな負担になっていました。
仕分け作業では、ヒューマンエラーの発生が大きな課題でした。
導入前は、ケースごとに、入れる商品が書かれた指示書を確認して仕分けをしていました。
特に、「規格違い」といって、同じ商品でも、内容量が違ったり、同じ野菜でも、カット方法が違ったりなど、間違えやすい商品があり、仕分け精度の向上を阻む要因となっていました。
導入に当たっての課題はありましたか。
どちらにも共通する課題として、機械そのものへの慣れが課題でした。
若手層とベテラン層で慣れるスピードに差もあり、定着するまで、半年ほどはかかりました。
また、「ハンディターミナル」の導入に伴い、仕分け作業の作業フローや作業スペースを見直す必要も発生し、従前の業務フローに慣れている社員にとっては、戸惑いもあったと思います。

仕分け精度が向上、働き方も改善 

導入前との違いは感じていますか。
「遠隔点呼システム」については、営業所の運行管理者の働き方が大きく改善されました。
これまでは、365日24時間常駐する必要がありましたが、今では、20時~5時までの間、運行管理者を配置する必要が無くなり、日曜日は終日休みにすることができるようになりました。
「ハンディターミナル」については、仕分け精度の向上につながりました。
出荷時の仕分けの正確性が向上したことにより、納品先での検品作業にかかる時間も大きく削減でき、ドライバーの負担も軽くなりました。
また、仕分け作業が容易になったことで、人材確保の面でも効果がありました。
以前は、指示書を確認して商品を探すという作業に慣れるまで時間がかかり、研修にかける時間も多くとられました。
導入してからは、日雇いアルバイトの方でも、問題なく仕分け作業をこなせる程に、作業難易度が下がり、教育にかかるコストが大幅に減ったと感じています。
従業員の反応はいかがですか。
システムに慣れるまでは、戸惑いを感じる声もありましたが、慣れてからは、運行管理者の負担軽減や、仕分け精度の向上など、導入による効果を喜ぶ声が多くなりました。
システムを導入する際、工夫した点はありますか。
システムの導入で、現場に混乱が生じないよう、最初から業務全体に導入するのではなく、まず一部の作業や、時間だけに導入し、段階的に全体の作業に適用させていくという工夫をしました。
また、「ハンディターミナル」については、すでに同じものを導入していた、荷主企業様にご協力いただき、操作に慣れた社員の方に教えていただく機会を作ることで、いち早く、現場社員がシステムに慣れるように工夫しました。
さらに、「遠隔点呼システム」については、点呼業務のデジタル化によって、ドライバーと運行管理者のコミュニケーションが希薄になるのを防ぐため、ミーティングの時間を増やし、情報共有が十分に行われるようにしました。

関係企業との連携を密に、さらなるデジタル化を推進 

今後はどのような展開を予定していますか。
今後は、運行管理システムと売上管理システムの連動などを通じ、請求書発行などの業務の効率化や、仕分け業務における、ヒューマンエラーのさらなる削減を目指しています。
また、物流業界のデジタル化は、自社だけで完結するものではなく、荷主企業や納品先企業と連携し、全体で進めることで大きな効果が得られます。
そのため、荷主企業様との月1回のミーティングなどで密なコミュニケーションをとり、荷主企業様を通じて納品先の企業様にも働きかけていただくことで、物流全体のさらなるデジタル化に取り組んでいきたいと考えています。
デジタル技術の活用を検討しているほかの事業者様へ、メッセージをお願いします。
デジタル化は、導入のために多くの時間やコストがかかることも多いですが、一度導入すれば、コスト以上のメリットが得られる取り組みだと思います。
また、物流業界は、さまざまな規制を守りつつ、安全安心な業務遂行が求められます。
それを実現するためにも、デジタルツールを用い、運行記録などのデータを効率的に収集したり、常に見える化したりしておくことは、将来的に大きな効果を生むと考えています。
まずは、「時間がかかっている作業」や「効率化できる作業」を見つけ、小さなところからデジタル化を進めることが重要です。
六郷小型貨物自動車運送株式会社 秋田南営業所

実際に活用した支援制度(補助金など)