AIツールと生産管理システムの連携・連動で様々な業務を効率化
「人がやらなくて良い仕事」を無くし、ものづくりを楽しめる企業へ

有限会社ながぬま
代表取締役
長沼 彰 ながぬま あきら さん

有限会社ながぬま
(外部サイトに移動)
秋田県にかほ市で各種金属加工を行っている有限会社ながぬま。「地域未来牽引企業」や「TOHOKU DX大賞2025」にも選出され、高い技術力とデジタル化への取組が県内外から高い評価を得ています。今回は、同社で導入した「CADDi Drawer」の運用効果について伺いました。

「CADDi Drawer」の導入で、データの検索、手入力を効率化 

導入したデジタル技術について教えてください。
弊社では、図面データ活用クラウド「CADDi Drawer」を導入しました。
こちらは、過去に受注した部品の設計図や原材料の発注履歴、製造過程・完成品の画像などをクラウド上で管理できるシステムです。
取引先から送られてくる設計図データをCADDi Drawerにアップロードすると、AIが図面情報を解析し、過去の類似した設計図データを検索します。
図面データには、受注実績や原材料の発注実績、類似製品の製作過程、是正処置履歴、完成品の画像など、見積作成〜製造・納品までに必要なデータがすべて紐付けられています。
  
図面をアップロード
選択した図面データをダウンロード                                     
例えば、見積を作成する際には、類似図面の受注実績を素早く参照できることで、スムーズに作成することができますし、製造現場では、過去に作った製品の写真を検索・閲覧できることで、製造に必要な知識・情報に簡単にアクセスすることができます。

過去のデータを取り込み、見積作成ができる

導入前にはどのような課題があったのでしょうか。
多種多様な図面データを扱う中で、以前は作業の指示書を手書きで作成していたため、過去の製造記録やベテラン技術者のノウハウが個人の知識にとどまってしまったり、記録を探すのが大変だったりといった課題がありました。
パソコンへの手入力作業も多く、転記ミスや作業時間の増加がスタッフの負担になっていました。
CADDi Drawerを導入する前は、NASサーバーで図面データ等を管理していましたが、データ数の増加や、人によりデータ名の付け方が違うことで検索性が悪化していたことも課題と感じていました。
導入に当たっての課題はありましたか。
スタッフの抵抗感と既存システムとの連携が課題でした。
スタッフの抵抗感については、既存の業務フローに慣れているスタッフからの疑問や違和感の声が多かったように思います。
特に、連携については、元々活用していた生産管理システムとCADDi Drawerのベンダーが異なっていたため、私自身が自社における将来の活用イメージを双方に伝え、両ベンダーの理解を得られたことで、両システムの連携を大きく進めることが出来たと思います。

あらゆる面で効果を実感。スタッフへの利益還元により抵抗感を払拭 

導入前との違いは感じていますか。
業務効率と品質管理、人材育成の面で大きな成果を実感しています。
業務効率の面では、見積データの自動転記や情報の一元管理により、従来は1週間ほどかかっていた図面の処理期間が数時間に短縮されました。
実際に、今日送られてきた見積依頼に対しても図面枚数72枚を1時間ほどで回答できており、このような対応の早さが競合他社との差別化にもつながっていると感じています。
品質管理の面では、タブレット端末などで図面と「完成品の写真という正解データ」を誰もがすぐに確認できる仕組みが整ったことで、経験の浅いスタッフでも品質を保てるようになり、社内不良が大幅に削減されました。
人材育成の面では、入社したばかりの方でも、CADDi Drawerを活用することで、より早く現場になれることができたり、ベテランの職人が退職しても、ノウハウが失われ無かったりと大きなメリットを感じています。
スタッフの反応はいかがですか。
手入力や探し物のストレスから解放され、全員が非常に前向きに活用しています。
経験の浅いスタッフや外国籍の働き手、シニアスタッフも安心して作業に打ち込めるようになり、今では現場のスタッフがシステム会社と直接やり取りを行って、改善案を主体的に提案してくれる頼もしい変化が見られます。
また、デジタルツールを使う機会が増えたことで、ベテランが若手に操作方法を聞いたり、そのお返しとして、若手に技術を教えたりなど、若手とベテラン層のコミュニケーションの機会も増えたように感じます。
システムを導入する際、工夫した点はありますか。
デジタル化による成果をスタッフに利益還元するということを徹底しました。
デジタル化の取組が、「経営者からの押し付け」ではなく、「自分たちのプラスになる取組」であるという意識を醸成するため、デジタル化などによる成果を年3回の賞与で還元するという取組も今年で7年目を迎えております。
この取組によって、スタッフが自発的にDXに取り組む組織になることができたと思います。

「デジタル」と「技術力」を備え、皆が豊かで楽しく働ける企業へ 

今後はどのような展開を予定していますか。
これからは、デジタル化と技術力の向上の両立に向けて取り組んでいきたいと考えています。
デジタル化については、現状のシステムより安価で便利なものがこれからどんどん出て来ると思いますので、そのような環境の変化に対応できるよう、現状のシステムに固執しすぎないよう、スタッフには声掛けをしています。
弊社の強みは「技術力」ですので、デジタル化で生まれた時間も活用しつつ、職人の技能向上に取り組んでいきたいと考えています。
デジタル技術の活用を検討しているほかの事業者様へ、メッセージをお願いします。
デジタル化の成功において最も重要なのは、経営トップ自らが強い意思を持って覚悟を決め、率先して推進することだと考えています。
現場に丸投げするのではなく、まずはトップが先頭に立ってもがき、得られた成果や利益をしっかり現場へ還元していく。
そうした姿勢を示し続けることで、弊社自身もスタッフが自発的に考えて改善へ動く「自走する組織」へと大きく変わることができました。
デジタル化の真の目的は、スタッフを豊かにし、ものづくりの本来の楽しさに集中できる環境をつくることです。
地域の中小企業だからこそ、トップ主導でデジタルを武器にし、共に成長していきましょう。