ヘルプデスクの問い合わせ対応をAIがサポート
導入から利用・運用までずっと簡単なFAQシステム

北日本コンピュータサービス株式会社

DX事業推進部

村上 雅弘むらかみ まさひろ さん

北日本コンピュータサービス株式会社
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全国シェアNo.1を誇る生活保護システムを持つ「北日本コンピューターサービス株式会社」が開発したAI搭載FAQシステム「ふれあいコンシェルジュ」。
今回は、開発責任者の小野さん、営業責任者の村上さん、マーケティング担当の池田さんに、「ふれあいコンシェルジュ」を開発したきっかけやシステムのポイントについて伺いました。

検索も運用も、とにかくシンプルで簡単!

今回ご紹介いただける製品・サービスの概要を教えてください。
「ふれあいコンシェルジュ」はAIを搭載したFAQシステムで、顧客や内部スタッフから寄せられるFAQ(よくある質問)にAIが回答することで自己解決を促します。問い合わせ対応にかかる労力を削減することができるため、本来の業務や、より生産性の高い業務へと時間や労力をシフトしていただけます。
開発のきっかけを教えてください。
開発当時注目され始めていたAI技術を活用して、弊社のコールセンターで抱えていた課題解決に役立てられるのではないかと考えたことがきっかけです。
弊社には主力製品である「生活保護システム」のほか、「滞納管理システム」「貸付システム」があり、弊社のコールセンターでは、システムをお使いいただく900以上のお客様から寄せられるお問い合わせに対応しております。当時、コールセンターは9名体制でしたが、法改正などの影響で問い合わせが1日当たり100件以上に増えていました。その際使用していた「質疑応答システム」は、お問い合わせに関連するキーワードで回答に必要なデータを検索するタイプのものでしたが、次第にキーワード検索ではスムーズにデータを見つけることが難しくなり負担となっていました。そこで、AIを活用して回答を検索できるシステムを秋田県産業技術センターにも協力いただきながら開発することになりました。
その1年後、自社での経験を基に、問い合わせを受ける最前線で磨かれた仕組みを製品化したのが、「ふれあいコンシェルジュ」です。

問い合わせに対応するコールセンタースタッフの皆さん

製品・サービスの特徴やポイントを教えてください。
パソコンが苦手な方でも、簡単に操作・メンテナンスできる点がポイントです。せっかくシステムを導入いただいても、メンテナンスが面倒だと継続した利用のネックになってしまいます。その点、「ふれあいコンシェルジュ」では、ダッシュボードで解決数・未解決数や、質問内容等の利用状況を確認でき、どのような質問にニーズがあるのかなどの問い合わせ傾向を掴みやすいシステムになっています。そのため、検索ニーズを踏まえて新しいデータを簡単に作成することができ、負担感無くメンテナンスが続けられます。
また、利用者側の目線では、シンプルかつ簡単に問い合わせできる点がポイントに挙げられます。問い合わせしたいと思い立ったときにパッと調べられる気軽さがないと、結局電話で確認した方が楽だし早い、という様に活用されない場合がありますので、利用のハードルを低くする点をかなり重視してつくりました。「パソコンの操作が不得意な人でも利用のマニュアルを見ないで直感的に操作できる」と利用者の方から評価いただいています。
開発者の目線では、やはりAIの技術がポイントとなっています。通常、AIの自然言語学習に必要な初期データは何十万件と言われますが、「ふれあいコンシェルジュ」では弊社独自で算出ロジックを組んでいますので、最低でも200件ほどあれば運用ができます。そのため、導入の第一段階でデータを用意する負担感がだいぶ軽減されていると思います。
開発にあたり、難しかったことや工夫したことはありますか。
自治体様向け業務パッケージを製造している中で、AIは未知の分野だったことからどこから手を付けて良いかも分からない状態で、システム開発は非常に難航しました。
その頃ちょうど、秋田県産業技術センターでは地元企業の研究開発をサポートしていたため、協力を依頼したところ、同センターが持つセンサーの機械学習と統計処理技術が活用できるのではないかとの助言をいただき、共同で開発を進めました。
また、当時は「AI」という単語が独り歩きをしており、世間では「AI=任せれば勝手かつ完璧になんでも出来る」という認識でした。そのため、映画の中のAIのように何でもすぐに答えたり、システムを導入するだけですぐに使うことができるとイメージするお客様も多くいらっしゃいました。そのイメージと弊社が実現できる部分とのギャップを埋めるため、製品紹介の前に、一般的なAI技術と、弊社の利用しているAI技術の違いについて理解していただくよう努めました。

問い合わせ対応時間の削減による業務効率化を実現

どのような方に利用してほしいですか。
以下のような企業や部署の方は、「ふれあいコンシェルジュ」の導入で課題解決を図ることができると思います。
・電話などの直接的な問い合わせ対応に追われ、本来の業務がなかなか進まない方
・よくある簡単な質問はシステムで効率化し、個別対応が必要な対応に力を入れて顧客満足度の向上を図りたい方
・新人教育になかなか手が回らず、エキスパートスタッフに仕事量が偏ってしまっている部門の方
また、当初はコールセンターやカスタマーサポートでの使用を想定して開発したのですが、特に若手の社員の方に使用してみてほしいと思っています。
私自身の経験談ですが、新入社員時代は業務パッケージの開発に携わっており、上司や先輩が色々と技術や業務を教えてくれました。分からないことがあれば打合せの時間をとってくれますが、上司や先輩は忙しいのに貴重な時間を奪っているのではないかという不安感もありました。
「ふれあいコンシェルジュ」は人ではありませんので、右も左も分からないような新人の方でも「忙しそうな上司・先輩に中々聞きにいけない」と考えることなく利用して貰えるのではないかと思います。
利用しているお客様からの声を教えてください。
「ふれあいコンシェルジュ」は主に、システムメーカー企業のコールセンター部門、自治体の情報システム部門や人事総務部門、コールセンター、ヘルプデスクで利用されています。
お客様からは、「画面構成がシンプルで、直感的に使いやすい」「会話形式のチャットボットよりもスピーディに解決できる」「FAQデータの作成方法や運用の提案など、稼働開始してからもサポートしてもらえてありがたい」などの評価のお声をいただいています。
どのような導入効果がありますか?
導入効果につきまして、コールセンターの事例をご紹介いたします。こちらのコールセンターでは、課題として、若手スタッフとベテランスタッフ間での電話対応品質にばらつきがあること、電話対応に追われて他の業務が追いつかないこと、働き方の多様化に対応するため効率を上げたいことが挙がっていました。
本システムの導入により、若手スタッフが問い合わせ受電後、AIの回答を参考にすることで、その場で回答できるようになりました。若手からベテランスタッフへの相談時間が減りますので、お客様の待ち時間も減るうえに、ベテランスタッフも若手からの相談に時間を割くことなく自分の仕事に集中できるようになりました。その結果、〈経験の浅い担当者の即答率※〉が8%から32%に増加、〈対応時間〉は15%削減、〈残業時間〉は62%削減の効果が得られ、業務効率化につながっています。
※問い合わせの受電から、折り返すことなく回答し、問い合わせが完了となる率

「ふれあいコンシェルジュ」の回答を参考に問い合わせ対応している様子。キーワードではなく、文章での検索が可能。

お客様の声を第一に、価値あるサービスを発信

この製品・サービスについて、今後はどんな展開を予定していますか。
全国に向けてどんどんサービスを広げていき、秋田発のAIを搭載したシステムで業務改善の輪を広げていきたいと思います。
また、自社で色々なシステムやサービスを開発できることが弊社の強みでもあります。今のカタチにこだわらず、新たな製品開発も含めてお客様の課題を柔軟に解決していきたいと考えています。コンピューター業界というと、画面に向かって一生懸命パソコンを操作しているようなイメージがあるかと思いますが、我々は営業担当者とシステムエンジニアが密にコミュニケーションを取って開発に当たっています。営業がお客様からいただいた貴重な声を機能などに反映させ、お客様へ提供するサービス価値を高めてまいります。

システム導入を支援した方からのメッセージ

戸嶋 一之
秋田県産業技術センター
電子光応用開発部
佐々木 大三さん

弊所で保有している技術を人手不足などの問題解決に使えないだろうか?と思っていた矢先、AIによるFAQシステム開発の相談をいただきました。試作はアジャイルで行い、毎日いくつものメッセージが飛び交い、アイディアを練って作っては評価を何度も繰り返し、非常にタフなものでした。無事完成し、秋田の企業がAIを開発できる、という代表例を作ってくれたことに感謝しています。これからも技術で人手不足などの問題解決に貢献できる事例を増やしてほしいと思います。

秋田県産業技術センター
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