自治体による事業利用条件の判定をシステム化
人為的なミスの低減と業務の効率化へ

株式会社デジタル・ウント・メア

代表取締役 岩根 えり子 さん

取締役 安藤 麻里子 さん

株式会社デジタル・ウント・メア(外部サイトに移動)

「私たちは情熱と技術をもって社会に貢献します」というモットーのもと、システム開発、ネットワーク開発を軸にし、ウェブサイトの総合プロデュースなどネットワークのエッジ部分全般を扱う「株式会社デジタル・ウント・メア」。自治体独自の福祉事業の利用条件の判定を自動化する「高齢者福祉台帳システム」について、開発のきっかけや製品のポイントを伺いました。

負担の大きかった確認作業がワンクリックで完了

今回ご紹介いただける製品・サービスの概要を教えてください。

横手市の福祉事業「高齢者等雪下ろし費用助成事業」、「高齢者等除排雪事業」などにおいて、これまでは申請があるたびに自治体職員が個々で管理しているExcelファイルなどから、住民基本台帳情報、要介護情報、課税情報を参照し、人為的に利用条件を判断していました。

「高齢者福祉台帳システム」は、基幹データの情報をシステムで取り込み、各事業の利用条件に基づいてワンクリックで該当・非該当を自動的に判定し、必要な帳票を生成することが可能です。

また、職員が個々に保管している住民基本台帳情報、要介護情報、課税情報、各福祉事業の利用状況などをシステム内で一元管理することもできます。確認したい申請者の情報があれば検索機能もあるため、いつでも簡単に情報を閲覧することが可能なシステムです。

開発のきっかけを教えてください。

横手市の従来の運用は、職員が個々に管理している情報を基に申請者の福祉事業の利用条件の判断をしていました。その結果、地域局間の自治体職員同士が連絡を取り合い、判定に必要な情報を確認するなど、多くの時間と労力がかかっていたと聞いています。

また、対応できるパッケージシステムは存在せず、本課題に特化したシステム開発が必要でした。当社としても取り組む意義を感じ、開発に手を挙げたのがきっかけです。

(左)個人の事業の利用状況が一覧で確認可能 (右)判定結果や同じ住所の世帯情報が1画面に表示 ※画像の表示はダミーデータ

製品・サービスの特徴やポイントを教えてください。

自治体独自の複数事業における異なる判定条件をシステム化しており、また判定に必要な情報を1つの画面で確認しながら、各種事業の対象となるかを即座に判断することが可能です。

利用条件の判定については、システム単体で完全に判断できない場合もあります。そのため、必要に応じて職員が判定結果を手動で変更できます。特に世帯情報などは、同じ住所でも世帯を分けて登録しているケースがあるため、申請者と同じ住所の世帯情報を確認する必要があります。

このシステムは、申請者と同じ住所の世帯情報を基幹システムから取り込み、判定画面内に表示することで、簡単に確認できる仕組みが備わっています。そのため、柔軟性が高く、自治体のニーズに合わせることができる点が特徴です。

開発に当たり、難しかったことや工夫したことはありますか。

事業の利用条件の判定に関して、自動的に判定された結果を手動で変更できる機能や、マスター設定によって基幹システムの情報を修正できる機能を備えたことです。

また、システムの完成度が一定に達した際には、実際に業務に従事している自治体職員向けの説明会を実施しました。これにより、直接的な意見交換を通じて画面内の情報の表示方法などを改善することができ、より良いシステムにすることができたと思います。

スムーズな開発に繋がった要因はありますか。

(岩根社長)社内の協力体制もありますが、開発を担当した社員のヒアリング能力の正確さがスムーズな開発に繋がったと思います。

プログラミングスキルももちろん必要ですが、機能の要件など最初の入り口がしっかり決まっていなければシステム開発は進みません。業務内容を十分に理解し、取引先の要望をしっかりと聞き取れていたことが大きな要因だと思います。

毎月の確認作業に費やしていた残業時間がゼロに

どのような方に利用してほしいですか。

各地の自治体でも、申請者の事業利用の判断を同様に行っている部署があるかと思います。

各部署への展開や自治体事業の変化に対応した保守を視野に入れて当製品を当社がゼロから設計していますので、様々な部署での事業内容に合わせたカスタマイズが可能です。

今回導入した横手市まるごと福祉課以外の各課もそうですが、同じような業務で負担を感じている他自治体の皆様にご利用いただきたいと考えております。

利用しているお客様からの声を教えてください。

横手市より、各事業の判定基準に基づいて該当・非該当を手動で確認していた際、半月以上残業が必要だったと伺っております。しかし、「高齢者福祉台帳システム」導入後は、残業が不要になったとのことです。

また、システム内で確認が必要な項目が明確になったことで、新人職員への業務引継ぎが容易になり、ミスも減少したとの評価をいただいています。

各地の自治体への展開を目指して

この製品・サービスについて、今後はどんな展開を予定していますか。

横手市まるごと福祉課に導入したシステムについて、現在5つの事業に対応していますが、さらに他の事業を追加したいという要望も寄せられております。効果を最大限に検証出来るように、要望に合わせた機能の向上を図りたいと思います。

また、基幹システムからデータを取り込み、事業の利用条件の判定を行い必要な帳票を生成するという仕組みは、横手市の他課や、他自治体でも求められているものと考えています。既存のパッケージ製品では対応できない手作業業務について、他課や他自治体へも当システムを紹介することで効率化に貢献できるよう展開をしていきたいと思っています。