秋田市に拠点を置く株式会社オクトライズは、スマートフォン・タブレットアプリやWeb・Windowsシステムなどの開発を専門とする企業です。
同社が開発した、マネージャーのマネジメント支援や能力向上を目的としたAIアプリ「Ai forマネジャー」について、その製品の特徴や今後の展望を伺いました。
他者の性格タイプを理解し、適切なコミュケーションが可能に
- 今回ご紹介いただける製品・サービスの概要を教えてください。
企業の離職原因の多くが人間関係と言われています。
「Ai forマネジャー」は、エニアグラム(性格的応用心理学)に基づき、社員を9つの性格タイプに分類し、それぞれの価値観や特徴から、AIが適切な指導方法をマネージャーにアドバイスするWebアプリです。
例えば、タイプごとのモチベーションを高める指示・指導の方法や、避けるべきNGワードなどを提示することで、マネージャーが社員とのコミュニケーション方法を理解し、他者理解による適切なマネジメントを身につけることができます。
- エニアグラムについて、具体的に教えてください。
エニアグラムは、人の性格が生まれながらにして9つのタイプに分けられるという医学的・心理学的な研究成果に基づく性格診断ツールです。診断されたタイプごとに、人の気質、見た目、使う言語、行動、考え方、価値観などが異なるとされています。
数ある性格診断ツールの中でも、エニアグラムが際立つのは、相手のタイプと現在の状態を踏まえ、どのような言葉がけが効果的か、どのような行動が成長を促すかなど、タイプごとの最適なコミュニケーション方法を具体的に提示できる点です。
エニアグラムの診断により、図の9つの性格タイプに分類される
- 製品・サービスの特徴やポイントを教えてください。
「Ai forマネジャー」の特徴は、診断結果をマネージャーだけでなくチーム全体で共有できる点にあります。社員一人ひとりが自分自身と他者のタイプを理解することで、より円滑なコミュニケーションを図ることができます。
また、マネージャーは社員の特徴を理解し、人材配置や採用にも活用できるため、社員の会社への意欲を高め、定着率の向上に貢献します。
さらに、Webアプリのため、パソコンやスマートフォンから気軽にアクセスできるのも魅力です。タイプ別のマネジメント研修や、良好な対人関係構築のためのコミュニケーション方法などを学べる動画コンテンツも充実しており、マネージャーの成長を多角的にサポートします。
左:性格タイプの一覧がチームで共有 右:動画の学習教材が利用可能
- どのような導入効果がありますか。
あるコールセンターでは、3ヶ月ごとに3割ものスタッフが人間関係を理由に退職するという深刻な問題を抱えてましたが、「Ai forマネジャー」導入後、人間関係が改善され、離職率がゼロになりました。また、コミュニケーションが円滑になったことで業務が効率化され、20名体制だった業務を17名で行うことが可能になりました。 給与コストも20%削減されたほか、従来行っていたコミュニケーション研修などの研修費用も軽減することができました。 さらに、他者への理解が深まったことで、お客様に対する対応も改善され、顧客満足度も向上しています。
「Ai forマネジャー」の開発経験から、メンタルヘルスにも応用
- Ai forシリーズとして開発中の「Ai for メンタルヘルス」について教えてください。
「Ai for メンタルヘルス」は、エニアグラムを活用し、社員一人ひとりの心の健康状態を9段階で評価・可視化してくれます。日々のストレスレベルを把握できるだけでなく、AIが診断結果に基づいてストレス改善や心の健康維持のための具体的なアドバイスを提供し、社員のメンタルケア・セルフコントロールを支援します。
「Ai forマネジャー」との相乗効果も期待され、より良好な人間関係の構築、離職率低下が見込まれます。
- 将来的にどのような方に利用してほしいですか。
製品化した暁には、人間関係による離職が多い企業のほか、特に、若い人材を抱える企業に利用して欲しいと考えています。秋田県内では、若手社員がベテラン社員との考え方のギャップに悩み、離職してしまうケースを耳にします。
「Ai for メンタルヘルス」は、「Ai forマネジャー」同様に、自分のタイプだけでなく他者のタイプについても確認することができます。自分の心の健康状態を維持し、他者理解を深めることで、若手社員のストレス軽減やメンタルヘルス向上に貢献し、ひいては人材定着率の向上に寄与する製品を目指しています。
「Ai for」シリーズとして、更なる進化を!
- この製品・サービスについて、今後はどんな展開を予定していますか。
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「Ai forマネジャー」と「Ai for メンタルヘルス」は、相乗効果により離職率低下に大きく貢献できる可能性を秘めています。そのため、「Ai for メンタルヘルス」の製品化に当たっては、両者を組み合わせたトータルパッケージなど、ユーザー企業がより効果的に活用できる仕組みづくりを検討しています。
また、従来のエニアグラム診断は数十問の質問に答える必要があり、手間がかかるという課題がありました。そこで、顔写真や動画からAIがタイプ判定を行うアプリを開発中です。診断のハードルを下げることで、より多くのユーザーに手軽に利用してもらいたいと考えています。
今後もAi forシリーズは進化を続け、企業の人材育成や離職防止など、人材面を総合的にサポートするサービスへと成長していきたいと思います。
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■「Ai forマネジャー」、「Ai for メンタルヘルス」について詳しく知りたい場合・「Ai forマネジャー」 https://ai-manager.jp/